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現役漫画編集者インタビュー!デビューまでの心得聞きました

現役漫画編集者が語るデビューまでの道

漫画雑誌の編集者として現役で活躍している西浩樹さんに、新人賞や持ち込み作品をチェックする際に、編集者は作品をどのような視点で見ているのか聞きました。漫画家デビュ―へのヒントが隠れているかも知れないので、デビューを目指している方は是非ご一読を!

編集者インタビューの様子

西浩樹/出版社にて漫画雑誌編集の責任者を経て、現在はフリ―ランスのライタ―および編集者として、漫画雑誌に携わっている。

最低月100ペ―ジ描けるとプロとして活躍が期待できる

―よろしくお願いします。

お願いします。

―ではまず、新人賞や持ち込み作品をチェックする際、どこに重点を置いていますか?

編集者にもよると思うんですけど、僕はどっちかというと絵の方を重視します。絵はやっぱり作家さんの才能の部分が強く出るところで、そこは編集も修正はできないじゃないですか?

逆にネ―ムとかプロットとか内容に関しては、いくらでも打ち合わせをしていい方向には持っていくことはできるんで。

コマ割りに関しても、上手くない人には、できるまでとことん付き合って育てることは可能だけど、絵柄に関してはどうしようもないかなと感じています。

でも、編集者の中にはスト―リ―を大切にしている人もいるんで、一概には言えませんけどね。

―その他に見ているポイントはありますか?

持ち込みの方には、その作品を仕上げるまでに何日かかったか聞いています。というのも、実際に連載の執筆作業になると、スピ―ドが求められるんです。

だから、例えば30ペ―ジの作品に対して「半年かかりました」って言われたら、正直困っちゃうかな。

自分的には月100ペ―ジ、もしくは3作品はかけないとプロとして独り立ちはできないと思っています。

スピ―ドを求めるにはもう一つ理由があって、原稿料という点もあるんです。ピンキリですけど原稿料は平均して、1枚約7,000円~10,000円とかそれぐらいなんです。

月30ペ―ジ描ければ30万円の収入で、生活できると思うかも知れないんですけど、アシスタントさんを雇ったときに、原稿料から出さなくてはならないってなると、それだけでは足りないですよね。

だから月100ペ―ジ、もしくは3作品描けるぐらいの能力があると、今後プロの漫画家として生き残りやすいと感じています。

これを常日頃言ってはいるんですけど、作家さんからは難しいとよく言われます(笑)

持ち込みには運も必要?

―持ち込みには持ち込み担当の方がいるのですか?

持ち込み担当はいません。たまたま予約の電話を受けた編集者や、そのとき空いてた人がつきます。その相手をした編集がずっとその人の担当になります。これを“担当つき”と言います。

だからこれに関しては運もあるんです。担当と相性があって伸びることもあるし、うまが合わずに来なくなっちゃう子もいます。

だって、持ち込んだ子から担当を変えて欲しいとは言いづらいですよね。ある程度連載を持ったベテラン作家だったら、編集長に直談判なんてこともありますが(笑)。

―“担当つき”の仕事とは具体的にどのようなことをするのですか?

持ち込まれた作品の足りないところに対して、アドバイスをすることです。

この作品のどこが良くて、どこが悪いのか、細かく指導します。そこを修正して持ってきてくれれば、何度でも見ます。本当に何回も何回も修正を加えます。ときには別の作品を描いてもらうこともあります。

それを重ねていって、ものすごく良いものができあがったら、編集長に見てもらったり、新連載会議にあげたりして、認められれば雑誌に掲載されて、晴れてデビュ―となります。

持ち込みを断ることは決してない

―持ち込みを断ることはありますか?

忙しくても持ち込みを断ることはしません。予約をして電話さえくれれば誰かしらが対応してくれます。新人発掘を常に行って新陳代謝をはからなければ雑誌が回らないので。

―持ち込みは完成品じゃなくてもいいんですか?例えばネ―ムの段階のものとか。

ネ―ムを受け付けないわけではないのですが、基本的には絵柄を見たいんで、完成原稿が望ましいです。それが雑誌に掲載されることはほぼないんですけど、自分のプレゼンの材料になるので。

完成品なら技術やコマ割りもチェックできるし、どこが足りなかったのかもアドバイスしやすいですよね。

あと根性論になってしまうんですが、この子描きあげたんだなという評価にはつながります。

―持ち込み作品を無下にあしらわれることはないですか?

僕は違いますが、怖い人はいると思います。昔はその場で原稿を破かれたとか、実際に耳にしたこともあります。

ただ、今ってツイッタ―とかに書かれて、炎上するリスクがあるんで、変なことはやりづらいですよね(笑)。

―持ち込み原稿を他の出版社にも持って行くことは許されますか?

修正指示に納得できなかったり、くじけてしまってたりして『全然自分のこと分かってくれてない』と思うなら、他の出版社に持って行くのは自由です。たぶんそこでも同じこと言われるんですけどね。

そこは強制ではないですし、こっちがお願いしているものでもないから、その人次第ですね。

応募や持ち込みは若いうちにするのが吉

―新人賞の応募や持ち込みに年齢制限はありますか?

基本的にはないです。ただ、年齢に対する心配はあります。例えば30歳を超えて持ってきた場合、プロ並に描けていればいいですけど、10代、20代の子が持ってきたのと同じレベルだった場合、そこからその子たちと同じ過程を踏んでデビュ―まで行かなくてはならないので、その歳であと3、4年大丈夫?とは思います。

賞に応募してきた作品に関しても、上手いなと思っても、年齢が40歳超えていると、正直ちょっと考えてしまいますね。

あと、歳を食うと自分の理論が確立してしまっていて、新しいものが受け入れられなくなってしまうんですよ。たいていそういう人は、自分を受け入れられない編集者が悪いとなってしまう人たちが多いんで。そうなると、よそで描いてもらっていいですよとなってしまう。

それが若い子だと伸びしろがあるし、吸収する余白も多いんで、賞の応募や持ち込みは若い子の方がうれしいですね。

―ぶっちゃけ持ち込みからデビュ―まで何%ぐらいの人がなれますか?

デビュ―できるかは本当に努力次第。1年以上描き直させられることもあります。

別に意地悪しているわけではなく、お客さんがお金を払って読んでもらうものなので、それに値するレベルまでいかなければ、読者に失礼になるし、連載している作家さんにも失礼になってしまうので。

だから、だいたいは途中で心が折れてこなくなっちゃうんですよね。本当に10人に1人残るか残らないかぐらいですね。

―アシスタントからデビュ―というのはどういう流れですか?

多いのは、その子がアシスタントとして付いている作家さんからの紹介です。

「うちのアシスタントが持ち込みしたい」とか、「けっこう描けるから見てよ」といった流れで見せてくれることはよくあります。それでその作品が良ければ、例えば賞に入れてみたり、いきなり読み切りとかもあります。

もしくは万が一プロの作家が落ちた(原稿が間に合わなかった)ときのストックとして、描き貯めないかという話はあります。

でも、アシスタントやっていると、アシスタントの仕事でいっぱいいっぱいになってしまって、それで原稿が描けなくて、終わってくって人もいっぱいます。

専門学校で勉強した方がデビュ―までの道のりが短い⁉

―独学の人と専門学校などで学んでいる人で差はありますか?

そうですね、今の時代自分である程度調べることができたり、同人誌やネットなど発表の場があるので、独学でも描くということに対して切磋琢磨できると思います。

ただ、我流で持ってくる子の中には、描き方が分かっていなかったり、コマ割りがガチャガチャだったり、変なところが大きいコマになっていたり、同じ顔がいっぱい並んでたりすることが多―あります。なぜそれじゃダメなのか、その理屈が分からないんですね。

そこが専門学校を出ていると、理論で分かっているので、いちいちこっちが教えなくていいので、手間が省けて時間短縮できるので、雑誌に載ったり賞をとったりするスピ―ドはすごく短くなるのかなと思います。

あと、専門学校は専門的な技術の部分、例えばアシスタントで作家さんのところ働かなくては得られないことを、そこで身につけることができるので、技術面で助かる部分は大きいのではないでしょうか。

うちの編集部にも、専門学校から卒業制作で描かれた雑誌が送られてきて、それを編集部で回覧するんですけど、見込みがあるとか、アシスタントとして即戦力になるかもといった雑談はよくしています。

―では最後に漫画家を目指す人たちへのアドバイスをお願いします。

持ち込みなり賞に応募するなり、どんな形でもいいんで踏み込んできてください。

編集者はいつでも待ち構えています!それをしてこない限り、こちらからは何もできません。

あと、何が何でも1本完成させるという気力で臨んできてください。そうするとこちらも本気でぶつかっていけます。

―本日は本当にありがとうざいました。

ありがとうざいました。

当サイト管理人

漫画家を目指している少年少女たちのために、フリーで活躍するライターや編集者が“漫画家デビュー応援隊”を発足。漫画家デビューするための最短ルートとは、漫画家になるための心得などを調べつくしました!